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第66回日本臨床細胞学会総会に参加して
2025.08.15
第66回日本臨床細胞学会総会に参加して
富山県健康増進センター 吉田淳史
先日、第66回日本臨床細胞学会総会に参加してきました。健診施設で働く者にとって子宮頸がん検診の未来がどう変わっていくのか、現場目線で考える良い機会となりました。
まずは以前から話題となっているHPV検査単独法への移行ですが、もはや避けられない世界の潮流です。受診者の方々にとって、精度が高く、5年に一度で済むことは本当に素晴らしいことだと思います。身体的にも経済的にも負担は減るため、医療に携わる者としてとても喜ばしく思います。
ただ、健診施設の人間としては少し複雑な気持ちも抱えています。検診間隔が2年から5年に延びれば、単純に受診者数は減少します。施設の経営を考えると、これはなかなかに厳しい現実です。受診者の利益になることは理解できるのですが、どうしても経営のことが頭をよぎります。このもどかしさは、おそらく多くの同業者が感じているのではないでしょうか。
そんな中、富山県は移行には慎重な様子です。まだ本格導入に至っていないこの「待ち」の時間は、住民の方々のためだけでなく、健診施設側が新しいあり方を模索するための貴重な準備期間なのかもしれません。この時間を決して無駄にしないよう、しっかりと準備を進めていきたいと思います。
また、細胞検査士としては、HPV陽性者の中から真に治療が必要な症例を選び出す「トリアージ細胞診」の役割がより重要になります。受診者の不要な精密検査を防ぐためにも、自身の鑑別眼を磨き続ける必要性を改めて感じました。]