一般社団法人富山県臨床検査技師会

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珈琲ブレイク 2026年2月<時をかける・・>

2026.02.09

厚生連滑川病院 辻田 由加利

 

 カレンダーをめくるたびに、「もう1年が終わるのか」と驚く瞬間はありませんか。子供の頃は夏休みが果てしなく長く感じられたのに、大人になると1年があっという間に過ぎていく。この不思議な感覚には、心理学的・科学的な背景があると言われています。

 まずよく知られているのがジャネーの法則です。これは「体感時間は、これまで生きてきた時間に反比例する」という考え方。5歳の子にとっての1年は人生の20%ですが、50歳ではわずか2%。人生全体の中で1年が占める割合が小さくなるほど、その重みが軽く感じられ、時間が早く過ぎるように思えるのです。

 さらに、子供時代は「初めて」の体験が多く、脳が新しい情報を処理するために多くのエネルギーを使います。その結果、記憶が濃く刻まれ、振り返ったときに時間が長く感じられます。一方、大人の生活はどうしてもルーチン化しがちで、予測できる出来事が増えます。脳が省エネモードで処理するため、記憶に残りにくく、「気づけば1年が終わっていた」と感じやすくなるのです。また、身体的な要因も無視できません。子供は心拍数や代謝が高く、身体のリズムが速いため、外の時間がゆっくり流れているように感じられます。年齢とともに代謝が落ちると、身体のリズムと外界の時間のギャップが広がり、時間が加速しているように感じられるという説もあります。

 とはいえ、「1年が早い」と感じるのは、生活が安定し、日々が落ち着いている証拠でもあります。ただ、もし時間の流れを少しゆっくり味わいたいなら、日常に小さな「新しい体験」を取り入れることが効果的です。通ったことのない道を歩く、新しい趣味を始める、普段選ばないメニューを頼んでみる――そんな些細な変化でも、脳は刺激を受け、時間の密度が高まります。

(一社)富山県臨床検査技師会の理事としての任期も、まもなく終わりを迎えます。振り返れば長いようで、本当にあっという間でした。これからは、時間の感じ方をより豊かにするために、何か新しいことに挑戦してみようと思っています。

2026年2月 <時をかける・・>