一般社団法人富山県臨床検査技師会

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「北陸一般検査セミナー2025」に参加して

2025.10.27

 

富山市医師会健康管理センター  稲垣泰良

 

 2025年9月21日「北陸一般検査セミナー2025」に参加してきました。毎年恒例のこのセミナーは北陸3県臨床一般部門の検査技師のレベルアップを目的とし開催されています。今回は富山県が担当でした。開催場所は風光明媚な金沢医科大学病院。講義室の窓からは日本海が一望でき、セミナーが終わるころのサンセットを眺めるのが参加の楽しみの一つでした。

 講義1「尿沈渣成分の判別について」を、横山貴先生(新潟医療福祉大学)が熱く講義してくださいました。横山先生自身の研究を基に学術的な最新トピックスをわかりやすく教えてくださるだけではなく、教科書に載っている基本的なことも臨床で困らないように覚えやすい教え方で講義してくださいました。

 講義2では、野崎司先生(東海大学医学部付属病院)による合計120分にわたる尿沈渣および寄生虫の全員参加型スライドカンファレンスが行われました。合計200枚以上の様々な尿沈渣細胞や虫体および虫卵のスライドを全員が回答しながら進んでいき、あてられるスリルも味わいながらのあっという間の120分でした。全てのスライドに解説も詳しく行われ、間違いやすい細胞の特徴やその出現背景、また臨床的に絶対に間違えてはいけない細胞も教えていただき本当に勉強になりました。中でも、X染色体性遺伝のファブリー病という病気があります。これは、リソゾームの酵素(α-ガラクトシダーゼ)がなくなることで、手足に激しい痛みを感じたり悪化をすれば腎臓、心臓、脳などに臓器障害をきたすこともある病気です。この診断には尿沈渣中に出現するマルベリー細胞の報告も重要になります。渦巻き状の小さな細胞で誤認しやいため鏡検方法を教えていただきました。発症率から考えると出会う確率は低いと思いますが、マルベリー細胞に似たような細胞を発見した場合は慎重に検査を進めたいと思いました。

 このセミナーを通して、サブタイトルの「とことん尿沈渣を極める」の名の通り、尿沈渣の基本的な細胞から、マルベリー細胞のようなレアな細胞まで幅広く学ぶことができ参加できて本当に良かったと思いました。

「北陸一般検査セミナー2025」に参加して